四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)をめぐり、広島高裁決定は活断層と火山という二つのリスクから、運転をしてはならないとする判断を導いた。主張を認められた住民側が高く評価した一方、原子力規制委員会と四電は反発した。
「今回の即時抗告審で一番大きな論点だったのは活断層と火山。その二つで我々の主張を認め、画期的だ」。決定後、住民側弁護団の中村覚(さとる)共同代表は力を込めた。
伊方原発をめぐっては、愛媛や広島などで運転差し止め訴訟が起こされてきたが、今回の弁護団が重視したのが、伊方原発の沖合600メートルの佐田岬沿岸に「中央構造線(地質境界)」の活断層があるかどうかだった。
きっかけは、2017年12月に国の地震調査研究推進本部が見直した断層帯の長期評価。佐田岬半島沿岸の中央構造線について「現在までに探査がなされていないために活断層と認定されていない。今後の詳細な調査が求められる」と活断層である可能性に言及した。
11年の東京電力福島第一原発事故後にできた原発の新規制基準では、敷地から2キロ以内に震源域がある場合、より厳しい設置基準が要求される。弁護団はこの長期評価の言及に注目。山口地裁岩国支部の審尋から活断層の存在を主張したが、昨年3月の同支部決定は「四電による十分な音波探査などが行われている」などと退けた。
しかし、広島高裁決定は「長期評価の記載は音波探査では不十分であることを前提にしたもの」と指摘。構造線自体が活断層である可能性は否定できず、四電の申請を認めた規制委の判断に「過誤ないし欠落があった」として支部決定の判断を覆した。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル